こんにちは、ぎらりょうです。
今週もやってまいりました、ぎらりょうは語りたい記事。
今日のテーマはアニメ『宇宙よりも遠い場所』。
このアニメ、一言で言えば名作です。
作りこみが素晴らしく、登場人物はみんな生きていて、多種多様なドラマを1期分でまとめあげた素晴らしい作品だと思います。
あらすじとしては「日常から抜け出したい少女、ある理由により南極に行きたい少女、これまたある理由から一人でバイト戦士となった少女、友達という存在にあこがれを持つ少女の4人が出会い、南極に行く青春物語」。
女子高生の年代の子たちが南極に?
現実的でないストーリーに見えますよね。
そんなの無理だって。
できっこないって。
そんな気持ちは、見終わったときにはひっくり返ると思います。
もちろんお話としてしっかりまとまっているという脚本的な意味もあります。
ですがそれ以上にこの作品から発せられるメッセージが、この考えをひっくり返してくれるのです。
誰しもが人生で一度は思ったこと。
「特別なことをしたい」という想い。
それはそれぞれの環境や理由から諦めることもあるでしょう。
でも、その一歩を踏み出す勇気を、この作品は与えてくれます。
そう思ったからこそ、個人的にNHKで放送してほしいなぁと思うのです。
そして一人でも多くの人、特に小中高生に見てほしいんです。
将来子供ができたときには是非見せてあげたい。
そう思えるアニメだからこそ、感想をいっぱい語りたいんだと思います。
ということで、ここまでで何か刺さっていただけた方はぜひ彼女たちの歩く道のりを見守ってほしいと思います。(2021年4月17日現在アマゾンプライム見放題)
そしてすでに見たという方は、この後書いていくぎらりょうの感想を見ていただけると幸いです。
では、そろそろネタバレモードに突入します。
未見の方は一旦ブラウザバックをお願いします。
【以降ネタバレ】
この作品を語られる時によく見る感想に、「伏線がすごい!」というモノがあります。
それ自体はその通りだと思うんですけど、ぎらりょう的にはちょっと捉え方が違っているんです。
その捉え方とは「キャラクターが生きている」というものです。
なんでそう思ったのか。
個人的な受け取り方として「伏線のためにキャラクターが動いているわけじゃない」という感じ方があったからです。
彼女たちの動きというのは、あくまで彼女たちの”芯”があって動いており、それが物語の中で「伏線回収」という形で出てきたんだと感じたのです。
例えばシンガポールでパスポートをなくした時の報瀬の対応。
大切にしてきた100万円を使って飛行機を遅らせるという決断をしました。
この100万円、このために用意された「伏線」かといえば、なんか違う気がするんです。
じゃあなにがこの行動につながったのかといえば、報瀬の想いがあると思うのです。
彼女の想いは、最初は「南極に行くこと」だけが唯一の想いでした。
それがキマリたちと出会ったことで「みんなで一緒に南極に行くこと」という想いに成長したのです。
そのためには何でもできる、その結果が大切な100万円を使ってみんなで一緒に行くということを選んだ決断なのだと思います。
こういった、キャラクターに命が宿っているからこそ行動に一貫性が出たことで伏線回収と思われている部分もあると思うのです。
であれば評価されるべきは伏線回収よりも、キャラクターが生きていることそのものではないかと思うのです。
もちろん、素晴らしい伏線回収アニメでもあります。
特筆すべきは母に向けた報瀬のメール。
12話で号泣の渦を巻き起こしたあのシーンですが、これこそ伏線を見事に回収したシーンであります。
1話終わりの新幹線のシーンから始まり区切り区切りにはあのメール画面が映っています。
これは意図して伏線とされたシーンであり、2度3度と見返すことで描写の細かさに驚かされるシーンであると思います。
だからこそ、「伏線のうまさ」と「キャラクターが生きている」という点は分けて評価されてほしいなぁというのがぎらりょうの想いでした。
話は変わりますが、皆さんこのアニメのどこの部分で泣きましたか?
僕は……いっぱいです。
1話から泣いてますからね。ハルカトオクが卑怯なんよ。
あの曲が流れるシーンは大体泣いてると解釈していただいて構いません。
大体泣いてます。
そもそも1話が完璧なんです。
一歩を踏み出したいけど踏み出せないキマリ。
サボろうとしても怖くなってやめちゃう。
そんな中日常を変えるのが100万円(しゃくまんえん)。
これをきっかけに知り合った報瀬から突きつけられる、日常を変えるかの選択。
それを今度は自分で選択し、広島に向かいます。
新幹線内で合流した時の報瀬の顔は、おそらく初めて期待に応えてくれた存在に歓喜した表情でしたね。
ここまで1話。凄い。
2話もいいですよね、主に報瀬のポンコツぶりの露呈。
合流するムードメーカー、日向。
新宿の街を逃げる彼女たちの姿が眩しい。
そして3話。結月合流回。
梯子を使ってホテルの窓から迎えに来るキマリたち。夢でよかった。
起きた後の悲しみ、そして喜び。
ノックの音を聞いてまず窓を見るのが軽く芸コマですね。
4話、実は見返した中で急に評価が上がった回(元から高かったけど)。
キマリの「何が見えますか?」というセリフがなんか心に残るんですよね。
それに対し言葉をなしに手を差し伸べる吟さん、カッコいい。
5話、問題回(いい意味で)。
やったこと自体は怒られなければいけないことだけど、それでも面と向かって謝っためぐちゃんは凄い。
普通はうやむやにしちゃうよ、でもそれを選ばなかった。
その時点で彼女には更正する下地が整っていたんだと思います。
6話、報瀬株乱高下回。
友達のために、躊躇なく決断をする彼女はカッコよかった。
原因を作ってさえいなければ。
とりあえずドリアン食べな。
7話、アツい回。
調査隊の中でも温度差がある状況を、報瀬がぶち壊した。
まるで彼女の母のように。
挨拶の中の「皆さん」というセリフ、声の震えでいつも涙が出るんですよね。
花澤香菜さん凄いなぁという想いを持つ回。
8話、ゲロ回。
厳しい環境の中で一歩一歩たくましくなっていく彼女たちの姿はいいものだ。
そして弓子さんカッコいい。
このアニメ唯一の非現実的な嵐の中外に出るという行為、なんと元ネタがあるらしいのでもう許した、というかそもそも気にしてなかった。
9話、としお。
最悪のファーストコンタクトだったけど、調査隊のメンバーと親交を深めるきっかけになったのではないかと考えると実はMVPなのでは??
でももっと相互に支える関係を目指せとしお。
そして再びアツい展開。
南極に行く道を阻む障害を、一歩一歩進む砕氷船の姿を調査隊みんなに重ねる話の流れが素晴らしかった。
砕氷船が氷を割るあのシーンでも涙が出る。
せーの、ざまーみろ!!
10話、ね。
結月が友達とは何か、という観念的な問いかけ。
でも契約書はやりすぎだよぉ。
そしてこの問いかけにコンパサーキマリが出した答え。
「友達って、ひらがな一文字だ!」
見なおしてて気づいたんですけど、結月合流回の3話ですでに「ね。」って使ってたんですよ。なんというロングパス。
11話、日向救済。
ただここで語りたいのは、日向の同級生。
演出的にも完全悪なのですけど、自分に置き換えた時、あの行動以外できたかといえば……というところがあって全否定できないんですよね。
そりゃあ同級生が凄い記録出すならがんばれって言うし、上級生から問い詰められたらその場で話を合わせないと怖いですよね。
予想外なのはそのやり取りを日向が聞いていたこと。
それでもずっと日向のことが心に刺さっていたんでしょう。
そんな折に南極に行くと知り、もしかしたら謝る機会ができたと思ったのかもしれない。
髪弄ってたりしたのが反省の色なし、と判断されても仕方ないかもしれないですが。
でも、彼女たちもめぐちゃんと同じく顔を合わせて何かを言おうとしてたんですよね。
それがどういう内容だったのか、確かめるすべはないですけど。
だからこそ、全否定できない存在だなって思うんです。
日向たちは彼女たちを許さなかった。
でも断罪するのは日向たちであって、視聴者ではないと思うのです。
もしかしたら自分たちがそういう存在になっているかもしれない。
もしかしたら日向たちが許せる内容だったのかもしれない。
主人公だからすべて正しいことをしたわけじゃないかもしれない。
この回は色んな想像をしていい回なんだと思います。
なんか熱くなって長くなっちゃった。
12話、神回。
母の死、これを現実として受け止められない報瀬。
母の面影をひとつひとつ通過するごとに増える変わらないという恐怖。
そんな恐怖をゆるめたのが友達の存在。
そして彼女に決定的なモノを探し出したのも友達という存在。
おそらく報瀬だけではなしえなかったこと。
友達の大切さというのが綺麗に描かれた回でした。
そして、あのシーン。
メールという媒体をあのように使うというアイデアに脱帽。
そしてここでも花澤香菜さんの演技が素晴らしい。
嗚咽の中に混じる「ああっ……」という声で涙が出ます。
まさに魂を宿す仕事、ということが伝わってくるシーンでした。
そして、最終回。
野球回があるアニメは名作の法則。
髪切った報瀬すっごくかわいい。
なにげに見返して泣いたのは仏壇に手を合わせる報瀬のシーン。
ああ、受け止め切れたんだなぁというのがセリフなく伝わるシーンでしたね。
そして最後をかっさらうめぐちゃん。
最後に語りたいことなんですけど、このアニメを見ると、やっぱり何かしらのやる気が出るんですよね。
挑戦するということを全面的に肯定してくれるのがこのアニメ。
僕もこのアニメから、とにかくブログで見た作品を語りつくそう、その先に何が待っているかは分からないけど、でもやらなかったときよりも何かを得られるかもしれないという想いを持たせてもらえました。
そういう想いにさせてくれる作品というのはまれです。
そんな作品に出会えたことが嬉しいのです。
そして、この想いをどうかたくさんの人に見てほしい。
特に小中高生に見てほしいと思ったのです。
だからタイトルは「NHKで放送してほしいアニメNo.1」としました。
この想いが実って、たくさんの人に勇気をふりまいてくれることを願ってこの記事を締めたいと思います。
それではまた次の作品で!